退職後の手続き

年金ライフと医療保険

退職したときに加入する医療保険を決めておきましょう

退職後、医師にかかるためには、いずれかの医療保険に加入しなければなりません。今後、どの医療保険に加入し、どのくらいの保険料を納めるか把握しておきましょう。
窓口負担の割合については、原則としてどの医療保険に加入しても同じです(後期高齢者医療制度を除く)。

① 再就職したら

再就職先の健康保険に加入する

再就職したときは、再就職先の健康保険の被保険者となります。

手続 加入の手続は再就職先で行います。
保険料の納め方 給与・賞与から差し引かれます。保険料額は次のようにして決まります。
保険料額={給与(標準報酬月額)× 保険料率}+{賞与(標準賞与額)× 保険料率}

② 子や配偶者など家族に扶養されたら

健康保険の被扶養者になる

主として家族(三親等内の親族)の収入によって生計を維持されている場合、健康保険に加入している家族の被扶養者になることができます。ただし、一定の条件を満たしていることが求められます。

※2020年4月からは「国内居住」が追加要件となりました。

手続 家族(被保険者)が「被扶養者(異動)届」を勤め先に提出します。
保険料の納め方 家族(被保険者)が健康保険の保険料を納めますので、被扶養者になった方の保険料負担はありません。
※健康保険に加入している方が75歳になって後期高齢者医療制度の被保険者になると、同時に扶養されている方も健康保険の被扶養者ではなくなりますので、被扶養者だった方は75歳になるまで国民健康保険に加入することになります(保険料の軽減措置があります)。
条件

① 同居・別居に関らず、被扶養者となれる家族
(1)妻または夫
(2)子、孫、兄弟姉妹
(3)父、母、祖父、祖母など直系尊属
② 同居していないと被扶養者になれない家族
(1)おじ、おば、おい、めいなどとその配偶者
(2)子・孫・兄弟姉妹の配偶者
(3)妻または夫の父、母、連れ子
(4)その他の三親等内の親族

① の被扶養者の場合
年収180万円(60歳未満なら130万円)未満かつ被保険者の年収の半分未満であること

② の被扶養者の場合
年収180万円(60歳未満なら130万円)未満かつ被保険者からの援助額より低いこと

③退職前の健康保険に引き続き加入する

任意継続被保険者になる

退職までに2ヵ月以上継続して健康保険に加入していた人は、引き続き2年間、個人で「任意継続被保険者」として健康保険に加入することができ、在職中と同様に健康保険の給付(出産手当金、傷病手当金を除く)をうけることができます。被扶養者についても給付がうけられます。

手続 「健康保険任意継続被保険者資格取得申請書」を退職後20日以内に健康保険組合または全国健康保険協会都道府県支部に提出します。
保険料の納め方 「納付書」によって毎月10日までに健康保険組合または年金事務所に納めます(前納制度もあります)。 なお、保険料は、事業主負担がなくなり、全額本人負担になります。

④ 国民健康保険に加入する

A.一般の国民健康保険に加入する

健康保険の任意継続被保険者になって2年が経過し資格を失った人は、市(区)町村の運営する国民健康保険に加入します。 また、老齢厚生年金をうけられる人は、下記Bの退職者医療をうけることができます。

手続 退職後14日以内に「国民健康保険被保険者資格取得届」を市(区)町村役場に提出します。
保険料の納め方 市(区)町村から送られてくる納入告知書・納付書によって納めます。なお、65歳以上の人については、特別徴収(年金からの保険料の天引き)も行われます。
B.退職者医療をうける

退職者医療制度は、平成27年3月で廃止されました。ただし、経過措置として、平成27年3月までに65歳に到達していない退職被保険者については、平成27年4月以降も65歳に到達するまで退職被保険者として継続されます。

⑤ 75歳(65歳以上で寝たきり状態)になった

後期高齢者医療制度に加入する

75歳(寝たきり等の方は65歳)以上の方は、医療保険の被保険者・被扶養者から除かれ、後期高齢者医療制度の被保険者になります。

手続 75歳の誕生日から後期高齢者医療制度の対象となりますが、手続は必要ありません。保険証は、お住まいの市(区)町村から75歳の誕生日の前月までに郵送されます。なお、65歳~74歳で寝たきり等の方は、障害の状態を明らかにできる書類を添えて、お住まいの市(区)町村に申請します。
保険料の納め方 後期高齢者医療制度の被保険者は、原則として、全員が保険料を負担することになります。保険料は、特別徴収(老齢厚生年金等からの天引き)または普通徴収(口座振替・銀行振込等)により、市(区)町村に納めます。
医療保険の被扶養者だった方が後期高齢者医療制度の被保険者になった場合は、均等割が2年間、5割軽減されています。なお、所得割は引き続きかかりません。
患者負担 医療費の1割*1(現役並み所得者*2は3割)となります。入院した場合には、そのほかに、医療保険の場合と同様に入院時の食費または食住費の負担が必要です。

*1 令和4年10月より、現役並み所得者以外で課税所得が28万円以上および単身世帯年収200万円以上(複数世帯の場合は後期高齢者の年収合計320万円以上)の被保険者の窓口負担割合は2割となります。

*2 現役並み所得者とは、被保険者のうちに1人でも課税所得が145万円以上の人がいる世帯の被保険者をいいます。

CHECK!!

自己負担が高額になったとき

健康保険・国民健康保険では、同じ医療機関で1人・1ヵ月の窓口負担が一定額(自己負担限度額)を超えたときは、その超えた分が高額療養費として払い戻されます。

所得区分 ひと月あたりの自己負担限度額
年収約1,160万円~の方
健保:標準報酬月額83万円以上の方
国保:年間所得901万円超の方
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770万円~約1,160万円の方
健保:標準報酬月額53万~79万円の方
国保:年間所得600万円超901万円以下の方
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370万円~約770万円の方
健保:標準報酬月額28万~50万円の方
国保:年間所得210万円超600万円以下の方
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
年収~約370万円の方
健保:標準報酬月額26万円以下の方
国保:年間所得210万円以下の方
57,600円
住民税非課税の方 35,400円

※事前に健保・国保に申請して「限度額適用認定証」の交付を受けておき、医療機関に提出すれば、窓口負担は自己負担限度額までで済みます。

※世帯合算や多数該当、年間上限により、高額療養費がうけられる場合があります。

※70歳以上の人、後期高齢者医療制度の被保険者については、所得区分、外来・入院(世帯単位)ごとに、自己負担限度額が設けられています。